各部門の紹介

脊椎センター

はじめに

 2024年4月1日より脊椎センターを開設しました。脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、靭帯骨化症などの脊椎疾患や圧迫骨折、脱臼骨折、脊髄損傷などの外傷を脊椎脊髄外科指導医が中心となり、医師、看護師、薬剤師、放射線技師、リハビリテーション、地域医療連携室などがチームとなって、より安全にスムーズな診療を行うことを目指しています。脊椎の疾患や外傷は以前から診療を行っている領域ですが、脊椎脊髄外科指導医1名だったのが2022年から2名になり、より多くの患者様の治療が可能になりました。さらに、チームとして多職種の連携を強化し、病状説明書、手術説明同意書、クリニカルパスなどの見直しを進めています。
 

脊椎センター紹介

 脊椎センターでは、脊椎専門医が様々な脊椎の疾患や外傷に対し、可及的速やかに診察や検査を行い、患者様の社会的背景やニーズに合わせた治療方針を立てます。早急に手術などの治療が必要な状態でなければ、可能な限り投薬や日常生活指導、リハビリテーションなどの保存的治療で対処し、手術が必要な場合には、脊椎内視鏡下手術などなるべく侵襲の少ない手術を選択して患者様の負担を減らすように努力しています。
 

脊椎センターの主な対象疾患

頸椎:頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頸椎後縦靭帯骨化症、頸椎椎間板ヘルニア
胸椎:胸椎後縦靭帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、胸椎椎間板ヘルニア
腰椎:腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板症ヘルニア、腰椎椎間孔狭窄、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症
成人脊柱変形
側弯症
化膿性脊椎炎
脊椎腫瘍、脊髄腫瘍
外傷:脊髄損傷、破裂骨折、脱臼骨折、圧迫骨折(骨粗鬆症を含む)
 

治療について

 腰椎椎間板ヘルニア:約8割の症例が保存的に改善しますが、痛みが強いためにADL(日常生活動作)や仕事における支障が続く場合や、筋力低下などの麻痺が認められる場合は脊椎内視鏡下手術を行います。
 腰部脊柱管狭窄症:症状が軽度の場合は保存的に経過を見ることができますが、歩行時の足の痛みやしびれなどの症状が高度の症例や、筋力低下などの麻痺が認められる場合は手術を選択します。除圧術(圧迫されている神経の圧迫の解除を行う手術)で対応できる症例は、ほとんど侵襲性の少ない脊椎内視鏡下手術で行っていますが、症例の状態によってはオープン手術を行うこともあります。

 


脊椎内視鏡下手術

 
 圧迫骨折:現在のような超高齢化社会では骨粗鬆症による圧迫骨折は非常に多く認められます。ほとんどの場合はコルセットなどの保存的治療で改善しますが、十分な保存療法を行っても疼痛が改善しない場合は、バルーンを使った経皮的椎体形成術【BKP(バルーンカイフォプラスティー)】が適応になります。また、近年はバルーンで整復した椎体をステントで保持した状態でセメントを注入する【VBS(バーテブラルボディーステンティング)】が開発され、より不安定性が高度の症例に使用しています。
 コルセットを装着しても強い痛みが続く症例や椎体圧壊(骨が壊れて変形してしまう状態)が進行して不安定性がある症例などが適応になります。骨粗鬆症が高度の症例では急速に椎体圧壊が進行してしまい経皮的椎体形成術では対応できなくなる場合もありますので、強い痛みが続くようでしたら早めに受診ください。

 


経皮的椎体形成

 

1骨折した骨に小さな風船のついた手術器具入れる

2風船を膨らませ潰れた骨を持ち上げ、骨折元に近い形に戻す。

3風船の液体‘(造影剤)を抜き、空間に骨セメントを挿入する。

4手術は終了です。

【BKP(バルーンカイフォプラスティー)】

 

1風船を膨らませる。

2風船を抜いた空間にステントついたバルーンをいれる。

3ステントを膨らませ潰れた骨を持ち上げ元に近い状態に戻す。

4セメントを挿入する。

【VBS(バーテブラルボディーステンティング)】

 
 

 高度の不安定性や脊柱変形があり除圧術や経皮的椎体形成術では対応できない症例には固定術(人工骨やスクリュー等を挿入して脊椎を固定する手術)が適応になります。特に高度の脊柱変形がある症例では広範にわたる矯正固定術が必要になることがあります。固定術を行う場合は、神経や血管の近傍にスクリューなどのインストゥルメントを設置しなければなりませんが、このような危険を伴う操作を安全に行えるように支援するために、O-arm2 というポータブルCTとStealth Station S7 というナビゲーションシステムを当院では使用しています。
 Stealth Station S7は赤外線を使って手術器械や体内に入れるインストゥルメントが体内のどこにあるかをリアルタイムにCT画像上に映す事で安全にスクリューを刺入できます。
 創を展開していない部位でも器械の位置を正確に示してくれますので、経皮的にスクリューを刺入することも可能で低侵襲手術においても非常に有用です。
 また、症例によっては麻痺が発生する危険性が高い手術をしなければならないこともあります。そのような症例では、全身麻酔下で脳の運動野を刺激して四肢の筋電図を測定することによって運動機能の評価ができる運動誘発電位(MEP:motor evoked potential )を測定しながら手術を行います。

 


O-arm2

 


Stealth Station S7を使用した手術

 

診療体制

・脊椎専門外来:毎週月曜日(午前)・水曜日(午前)・木曜日・金曜日

脊椎
専門外来
AM:斯波・角田 ー AM:斯波・角田AM:斯波
PM:斯波
AM:角田
PM:斯波
・初診については紹介状が必要です。
他の医療機関(かかりつけ医)にて紹介状をご用意ください。