放射線治療
がんの治療法には、大きくわけると手術療法、放射線治療、薬物療法の3種類あります。
放射線治療は手術と同じ「局所療法」ですが、患部の機能や形態を温存でき、幅広い病期に適応できるがんの治療法です。
米国ではがん患者の約2/3が放射線治療を受けています。
放射線治療は、放射線が細胞にダメージを与える作用を利用した治療法で治療部位等に依りますが、 1日1回、15分程度で数回から30数回となります。
技術の進歩により、治療期間も短く精度の高い放射線の治療が可能になってきています。
外部照射装置
体の外から病変部に放射線を照射する装置です。 最新の治療装置の導入により高精度な放射線治療が可能となりました。治療部位や治療方法により、画像誘導放射線治療(IGRT)を用いて治療を行います。治療直前にCTの撮影が出来るので従来に比べ、より正確に治療部位の確認を行うことが可能です。
また、より病変部へ集中的に放射線を照射する強度変調放射線治療(IMRT)、強度変調回転放射線治療(VMAT)、定位放射線治療(SRT)にも対応しています。 当院では前立腺がんに強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いて、治療を行っています。
治療前治療3ヶ月後強度変調回転放射線治療(VMAT)による腫瘍の縮小
CTシミュレータ
放射線治療の計画を立てるためにSIEMENS社のX線CT装置を使用しています。開口径が80㎝と大きく、固定具等を使用しても干渉しないため治療体位を保持しながら撮影可能です。また、最新の画像再構成技術(iMAR)を使用することで歯科治療、人工関節などの体内金属があっても正確な画像を得ることが出来ます。
治療計画装置
現在の放射線治療は、CT画像等を用いて病変部へ三次元的に放射線を照射するための計画を作成します。 CT画像だけでなくMRIなどの画像を用いてより正確により最適な計画することができます。
品質保障・管理 QA/QC
安全に質の高い放射線治療を行うために、放射線治療専門放射線技師や放射線治療品質管理士や医学物理士の資格を持つ診療放射線技師が実施します。放射線治療を開始する前に、正確な放射線が出力されているか、治療計画通りに放射線治療が行えているか、様々な項目について確認し検討を行います。
装置
- TrueBeam(バリアンメディカルシステムズ)
- SOMATOM Definition AS 20 OPEN RT Edition(シーメンスヘルスケア)
Q&A
Q. 放射線治療って怖くないのですか?
A. 放射線は100年以上にわたって、がんへの有効な治療法として使われてきました。外部放射線治療を受けても、放射線があなたの身体に残って、その後身体から放射線が放出されるようなことはありません。放射線治療を受けると何年か後にがんになると心配する方もいらっしゃいます。放射線治療によってがんになる可能性は非常に低く、それよりも現在あるがんを治すことのほうが大切です。
Q. 放射線治療中、日常生活で注意することはありますか?
A. 治療の内容によっては食事の注意が必要です。特に、口腔や咽頭、消化管などに放射線が当たる場合は食事に気をつける必要があります。刺激物や消化の悪いものなどを避けて、栄養と水分を効率よくとることが大切です。
Q. 仕事や家事は今までどおり可能ですか?
A. 外来での放射線治療の場合、治療期間中の通院・治療に要する時間的制約以外の制約はほとんどありません。過度な負担にならない程度であれば、今までどおりに仕事や家事を行って頂けます。
Q. 放射線治療後はどうすればよいですか?
A. 放射線治療が終了すると、その後の健康状態等を確認するために経過観察を行います。主にCTやMR、内視鏡、超音波などによる画像検査、血液検査など行い治療効果を判定します。