血管造影
心臓血管検査
心臓カテーテル撮影装置
2017年10月にSIEMENS社製『Artis one(アーティス・ワン)』を新規導入しました。
従来の装置では複数回角度を変え、角度ごとに造影剤を注入し撮影していましたが、新規装置Artis oneでは撮影管球が患者様の周囲を設定された軌道で旋回しながら撮影することにより左冠動脈または右冠動脈の診断に必要な画像が、1回の造影1回の撮影で得られるため、造影剤と被ばくの低減に寄与します。『Heart Sweep(ハート・スウィープ)』 また、冠動脈ステント留置の位置決めにおいて、高画質でクリアなステント強調画像が得られます。
『CLEAR Stent(クリア・ステント)』
さらに、リアルタイムでもステントの位置や形状を鮮明に捉えるためステントを追加する手技等で有用です。
『CLEAR Stent Live(クリア・ステント・ライブ)』
新規装置導入(2017年10月17日稼働開始)により低被ばくでありながら高精細な高画質が得られるようになり、さらに的確な診断治療が可能となりました。その他にも、ペースメーカー植込み、下肢血管、透析用シャントなどの検査が行われています。
心臓カテーテル検査(診断)
手首や肘、足のつけ根のところから細いカテーテルという管を心臓の血管(冠動脈)に挿入し、血管内に造影剤を注入し撮影することで、冠動脈の状態を調べる検査です。診断のみの検査は通常10~15分で検査を終え、1泊2日で行っております。
心臓カテーテル検査(治療):経皮的冠動脈形成術(PCI)
粥種により狭くなった血管に細いワイヤーを通し、このワイヤー上に挿入した風船(バルーン)を拡張させることにより、粥種を押し広げ、血管の血の流れを改善する方法です。バルーン治療のみの場合は粥種がまた大きくなることなどにより、血管が再度狭くなることが半分以上で起こるとされているため、同部位に金網の筒状になっているステントを追加で置くことが多く行われています。
治療での検査は通常30~60分で検査を終え、3泊4日で行っております。
また診断・治療とも95%以上の患者様で手首からのカテーテル検査を行っているため、安静にしている時間も短時間(診断の場合終了1時間後から歩行可能)となっています。
頭部腹部下肢用血管撮影
足のつけ根、手首、肘などから細いカテーテルという管を目的の血管まで挿入し、血管内に造影剤を注入しながら撮影することで、血管の走行や状態を調べる検査です。
コンピュータ処理により骨陰影などを消去し、血管のみを鮮明に撮影することが可能です(DSA撮影)。
頭部血管、腹部血管、下肢血管、透析用シャントなど、全身をカバーすることが可能で、カテーテルを用いた血管内治療(Interventional Radiology:IVR)などが盛んに行われています。
頭部血管
・脳血栓回収療法
脳の血管が急に血栓で詰まってしまった場合、足のつけ根から専用のカテーテルを挿入し、強力なポンプを用いて詰まっている血栓を吸引し回収する方法や、金網の筒状になっている血栓除去デバイス(ステント)を用いて回収する方法で、血管を詰まらせ脳梗塞を起こさせている血栓を直接取り除きます。
脳動脈瘤塞栓術
まず、足のつけ根から専用のカテーテルを挿入し首の動脈まで誘導します。その管の中にさらに細いマイクロカテーテルを挿入し、脳動脈瘤の中まで進め、マイクロカテーテルの中に金属製のコイルを送り込み動脈瘤の中で丸めるように留置します。留置されたコイルにより、血液が入らない状態となり血栓化し、脳出血を防ぎます。
撮影管球が患者様の周囲を約200°回転することにより3DCT撮影(Dyna CT)が可能となりました。そのため、3次元的に血管を描出させることができ、より立体的な血管走行の把握や脳血管内治療の安全性に寄与します。
腹部血管
・肝動脈化学塞栓術(TACE)
足のつけ根から肝細胞がんを栄養する動脈だけにカテーテルを選択的に挿入し抗がん剤を投与したり、塞栓物質を入れて血流を遮断し、正常な肝細胞に対する影響を最小限にして肝細胞がんのみを壊死させる方法です。
その場で簡易的なCT撮影(Dyna CT)が行えるためさらに的確な診断・治療が可能となりました。
下肢血管
・末梢血管に対する血管内治療(EVT)
狭窄・閉塞している血管に細いワイヤーを通し、このワイヤー上に挿入した風船(バルーン)を拡張させることにより、血管を広げて血流を改善する方法です。その広げた部分に金網の筒状のステントを留置する方法が多く行われています。ステントを使うことによって、バルーン治療のみの場合と比べ、再狭窄。再閉塞を減らすことが可能となります。
装置
- Artis one(シーメンスヘルスケア)
- Artis zee FA(シーメンスヘルスケア)
Q&A
Q. 検査は痛いですか?
A. 最初に局所麻酔をするときに痛みを感じますが、検査中のカテーテル操作時の痛みは感じません。 個人差はありますが血管内治療で狭い所を風船で膨らましたりする場合は痛みを感じることもあります。 造影剤を注入している間は、少し熱い感じがあるかもしれません。
Q. 検査後の安静時間はどのくらいですか?
A. カテーテルを挿入した場所によって異なります。 手首や肘からの場合は、約1~2時間、足のつけ根の場合は4~5時間安静が必要となります。
Q. CTやMRI、単純X線撮影も検査したのに血管撮影もしないといけないのですか?
A. 血管撮影では、直接動脈に入れた細いカテーテルを目的の血管まで進めて、そこから造影剤を流して撮影します。 この撮影により詳細な血液の循環状態や臓器の支配血管、腫瘍の栄養血管などを見きわめることができます。また、現在では腫瘍に対する治療や狭窄した血管を広げたり、弱くなった血管の修復などの治療も外科的手術に代わって行われています。
Q. 被ばくは大丈夫ですか?
A. 血管造影検査は、X線透視やX線撮影を行うため単純X線撮影と比べると被ばく線量は多くなります。 具体的な被ばく線量は、検査内容や体型により大きく異なりますが、特に血管内治療では、透視時間や撮影回数が多くなり皮膚障害を生じることもあります。しかし、このようなX線を用いた検査および治療、放射線を使う行為は、もたらされる便益(メリット)が放射線のリスクを上回る場合のみ認められるという大原則です。患者さんの被ばくによるリスクよりも検査による病状の把握や血管内治療による有益性が認められる場合に施行されます。スタッフ一同、可能な限り少ない被ばく線量で検査および治療を行えるように日々努力しています。
Q. 以前、造影剤を使用したとき副作用がありました。大丈夫でしょうか?
A. 過去に造影剤の副作用があった場合は、診察時に必ず医師に伝えて下さい。副作用を防止するためのお薬を使いながら検査をするか、検査を中止にするか、医師が判断することになります。
Q. 検査が不安です。
A. 検査時には医師、看護師、診療放射線技師が近くにいますので、少しでも不安があれば何でも聞いて下さい。ただし、手や足、体を動かしてしまうと清潔野が不潔になってしまったり、カテーテル操作時等は危険ですので口頭でお願い致します。 スタッフが近くにいます。安心して検査を受けて下さい。