令和6（2024）年を迎えるにあたり、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
　旧年中は当院の運営におきまして、地域の皆様には多大なるご厚情を賜り深く感謝申し上げます。
今年も引き続き、ご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます。

　このたびは、令和6年能登地方の大地震により、犠牲になられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。さらに１日も早い被害からの復旧をお祈り申し上げます。

　新型コロナウイルス感染症は、昨年5月より季節性インフルエンザと同様な「5類感染症」に移行し、従来の「全数把握」による感染者数の発表が中止となり、多くの制限が緩和され通常の日常生活に戻りつつあります。しかしながら、完全な終息ではないことやインフルエンザ感染症の増加などのため、個人の感染対策は継続していただきたいと思われます。何卒ご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。

　当院は、昭和9（1934）年2月11日に「桐生組合病院」として病床数２０床で開設し、現在25診療科で、一般病床420床、感染症病床4床を有しており、今年で開院９０年を迎えております。更に令和５年４月１日付けをもちまして、当院の母体である桐生地域医療組合は地方公営企業法の全部適用に移行し、『桐生地域医療企業団』に変更となりました。
　病院事業内容に関しましては、桐生市みどり市で構成される2次保健医療圏における唯一の公立病院であることに変わりなく、診療体制や治療内容に関しては特に変更はありません。今まで通りに受診や治療を実施いたしますので、安心してご利用いただければ幸いに存じます。

　私どもは、当院の基本理念を『信頼され、心が通う地域医療』と掲げ、地域の皆様により良い医療を持続的に提供するため、以前より「現状維持は後退である」という気持ちで、既成概念や前例主義の打破に取り組んで参りました。
　病院内では、令和５年４月より外来患者さんの利便性の向上と待合の環境改善のため、正面入口右手にコンビニを開設し、飲食可能なスペースを設置しました。更に医師の働き方改革ならびに診療の専門性向上、待ち時間の改善などを鑑みて、内科の初診紹介患者に対し完全予約制を導入し、そのほかに訪問看護室やヘルニアセンターの設置、人間ドックおよび健診室の移設・拡充などを実施しました。今年は、市民の皆様に理解しやすく、身体にやさしい高度な医療を提供できるよう、脊椎センターの設置や手術支援ロボットの導入などを目指しております。

　現在、医療福祉を取り巻く環境は、様々な課題が同時多発的に生じている状況であります。人口減少と少子高齢化に伴う社会保障制度の問題に加え、医師偏在に伴う医師不足問題、医師の働き方改革（2024年施行）、診療報酬の改定、財政の危機などの社会的・経済的な課題が深刻化することになるでしょう。このように時代が大きく変化する中で、当院がどのような医療体制を目指すべきか、どのように生き残るべきか、どの程度の新病院が必要であるのかなどが重要な課題であります。桐生市みどり市に存在する地域中核病院の使命として、変化の時代に生き残れる、つまり持続可能な医療提供体制の確保を目指したいと考えております。

　今年も職員一同、皆様のご期待にお応えできるような診療体制の構築に向けて、迅速かつ丁寧な医療サービスを誠心誠意提供して参りたいと存じます。今後も、当院への変わらぬご理解ご支援を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。

令和６年１月