ESCO 事業について
1.ESCO事業とは
「Energy Service COmpany」の略称
- 省エネルギ-を実現し、そのメリットから利益を得る成功報酬型ビジネス。
- 大型改修工事を計画しても資金調達が困難で、なおかつ省エネを考慮した場合、問題を解決する手法として期待が高い。
- 省エネに係る全ての経費(建設費、金利、事業者の経費等)を省エネで実現する経費削減分で賄う。
- ESCO事業は光熱水費、保守料等の削減分で全ての改修経費を賄うことから、新たな財源支出を必要としない。
- ESCO業者が省エネ効果を保証すると同時に病院の利益を保証する。省エネ効果が得られなかった場合、業者は病院の損失を補填する。
2.ESCO事業の契約方式
ESCO業者と病院が締結する契約には、病院が資金調達するギャランティ-ド・セイビングス契約とESCO業者が調達するシェア-ド・セイビングス契約の2種類の形態があり、病院は財政状況を考慮し、後者を選択する。
3.ESCO事業採用の経緯
当院はエネルギ-使用量が重油換算で3,000ℓ以上使用の「第1種エネルギ-管理指定工場」となっており、経済産業局よりエネルギ-の削減要請が毎年来るが、大きく削減する策が取れずにいた。そこで、現在の光熱水費を原資として、削減された光熱水費分を建設改良工事費や設備保守料等の支払いにあて、経年劣化が進むボイラ-や冷凍機等の熱源・空調設備の更新や照明器具の高効率化を進め、大幅な省エネを目指しESCO事業を採用とした。
4.ESCO事業の経過
平成22年 3月 3日 | 最優秀提案を選出 審査委員会名簿は別掲載 省エネ率、投資額、工事期間等を主な理由として選出 |
平成22年 3月30日 | 東京電力より支援金の決定 環境配慮型高効率熱源導入支援制度 |
平成22年 5月10日 | 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より事業補助金の決定 住宅、建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業補助金 (建築物に係るもの) |
平成22年 9月 1日 | 契約締結 委託者 桐生地域医療組合(桐生厚生総合病院) 受託者 桐生瓦斯(株)・(株)山武(現(株)アズヴィル)・芙蓉総合リース(株) |
平成22年 9月上旬 | 改修工事開始 (省エネ8手法) |
平成22年12月下旬 | 改修工事終了 |
平成22年12月下旬 ~平成23年3月 | 改修工事の調整、確認、修正等 |
平成23年 3月31日 | 改修設備引渡し |
平成23年 4月1日 | ESCO事業開始 |
令和2年 3月31日 | ESCO事業契約終了 |
令和2年 4月1日 | ESCO事業者より桐生厚生総合病院へESCO設備無償譲渡 |
5.ESCO契約内容
(ア)経費・契約期間
(1)ESCO事業経費 257,300,000円 (税込)
(2)契約期間 9年
(イ)削減率・額(包括的エネルギー契約書からの抜粋)
項 目 | 一次エネルギー削減率(%) | CO2削減率(%) | 年間削減額(円) |
---|---|---|---|
電 気 | 4.6 | 3.7 | 7,913,358 |
ガ ス | 23.6 | 27.5 | 31,553,278 |
水 道 | 0.0 | 0.4 | 2,008,417 |
計 | 28.2 | 31.6 | 41,475,053 |
※ 年間削減予定額はH18~20年度の各平均契約単価により算出。
(ウ)削減保証基準・ESCOサービス料
項 目 | 金 額(円/年) | 備 考 |
---|---|---|
年間削減保証基準額 | 36,115,361 | ESCO業者が削減を保証する基準額 |
年間ESCOサービス料 | 35,007,000 | 削減額が保証基準を上回った場合の支払限度額 |
※ ESCOサービス料は消費税率引き上げによりR1.10より36,340,600円に変更。
(エ)ESCOサービス料
(1)光熱水費の使用量が改修前より増加(改善なし)した場合 ・・・ サービス料は支払わない
(2)実削減量が削減保証基準量を下回った場合 ・・・ (支払額算出式)ESCOサービス料
=支払限度額-{(削減保証基準額-実削減額)+ 保証利益額(1,108,361円)}
(3)実削量が削減保証基準量を上回った場合 ・・・ 定額 36,340,600円 (支払限度額)
(オ)省エネ手法 (主な手法を抜粋)
(1)空調設備(熱源システム)の再構築
・炉筒煙管ボイラ(4.8t×3台)→貫流ボイラ(2.0t×4台、1.2t×2台)に更新 ◇写真は別掲載
・蒸気吸収式冷凍機(400RT×3台)→蒸気吸収式冷凍機(400RT×2台、インバータターボ冷凍機200RT×1台)
◇写真は別掲載
(2)照明器具等の高効率化
・省エネタイプのHf照明器具(安定器+Hf管)及びLEDライトに交換する。併せて蛍光型誘導灯をLEDライト型に交換する。
(3)節水型水栓の導入
・トイレの手洗、大小便器、病室内洗面所等に節水型水栓を取り付ける。
※上記を含め8手法の省エネ工事を実施。
6.令和2年度 ESCO事業の概況
事業削減達成率は事業開始からの平成23年度の89.3%から令和元年度の112.6%まで粗粗右肩上がりでした。その要因としては、通年より平均気温が高かった平成30年度と同等に令和元年度も平均気温が高く、特に真冬となる12月から2月にかけての平均気温は暖かかった前年度よりも1.1度高く、暖房に消費される電気・ガスの使用量を大きく削減することとなり、通年のエネルギー削減達成率を前年度より1.7%改善する結果となりました。
水道に関しては雑用水受水槽の更新工事及び井水処理装置設備工事のため、2月に井戸水が使用できない期間が発生しましたが、全体を通しては大きな使用量の増加とはなりませんでした。
ESCO事業は9年が経過し契約終了となりました。ESCO事業によって導入した設備は無償譲渡として、病院に設置され続けます。
ESCO事業に関する更新は今回で最後となりますが、今後も設備の更新や運用方法の改善などにより、省エネに向けた努力を継続していきます。
(ア)光熱水使用量比較 (併設の特別支援学校を含む)
項目(単位) | 電気(kw) | ガス(m3) | 水道(m3) |
---|---|---|---|
平成22年度 | 7,075,355 | 1,145,166 | 102,098 |
平成23年度 | 6,270,097 | 771,020 | 80,747 |
平成24年度 | 5,934,891 | 791,319 | 84,874 |
平成25年度 | 5,959,093 | 752,445 | 96,465 |
平成26年度 | 5,893,870 | 717,466 | 83,352 |
平成27年度 | 5,712,730 | 671,019 | 86,062 |
平成28年度 | 5,547,761 | 719,715 | 84,368 |
平成29年度 | 5,620,434 | 682,006 | 82,526 |
平成30年度 | 5,609,945 | 674,934 | 80,882 |
令和元(平成31)年度 | 5,605,868 | 669,018 | 81,214 |
(イ)光熱水使用量削減率比較 (各年度/22年度)
項目(単位) | 電気(kw) | ガス(m3) | 水道(m3) |
---|---|---|---|
平成22年度(基準) | - | - | - |
平成23年度 | △ 11.38 | △ 32.67 | △ 20.91 |
平成24年度 | △ 16.12 | △ 30.90 | △ 16.87 |
平成25年度 | △ 15.78 | △ 34.29 | △ 5.52 |
平成2326 | △ 16.70 | △ 37.35 | △ 18.36 |
平成27年度 | △ 19.26 | △ 41.40 | △ 15.71 |
平成28年度 | △ 21.59 | △ 37.15 | △ 17.37 |
平成29年度 | △ 20.56 | △ 40.44 | △ 19.17 |
平成30年度 | △20.71 | △41.06 | △20.78 |
令和元(平成31)年度 | △20.77 | △41.58 | △20.45 |
(ウ)支払額比較 (22年度当時の単価(支払額÷使用量)で各年度を試算した額)
項目(単位) | 電気(kw) | ガス(m3) | 水道(m3) | 支払額(円) | 22年度との差額 |
---|---|---|---|---|---|
平成22年度 | 7,075,355 | 1,145,166 | 102,098 | 181,750,437 | - |
平成23年度 | 6,270,097 | 771,020 | 80,747 | 146,108,991 | △ 35,641,446 |
平成24年度 | 5,934,891 | 791,319 | 84,874 | 143,146,127 | △ 38,604,310 |
平成25年度 | 5,959,093 | 752,445 | 96,465 | 143,466,677 | △ 38,283,760 |
平成26年度 | 5,893,870 | 717,466 | 83,352 | 138,283,858 | △ 43,466,579 |
平成27年度 | 5,712,730 | 671,019 | 86,062 | 133,658,064 | △ 48,092,373 |
平成28年度 | 5,547,761 | 719,715 | 84,368 | 133,628,560 | △ 48,121,877 |
平成29年度 | 5,620,434 | 682,006 | 82,526 | 132,296,294 | △ 49,454,143 |
平成30年度 | 5,609,915 | 674,934 | 80,882 | 131,467,541 | △50,282,896 |
令和元(平成31)年度 | 5,605,868 | 669,018 | 81,214 | 131,148,597 | △50,601,840 |
★平成23~25年度の削減分はサービス料の約3,500万円を、26~R元年度の約3,600万円を上回っています。
支払額は原料調整額が毎年異なるため、22年との差額はあくまでも参考値となります。
ドラム缶 ④=③÷0.2 5,205.0 缶/年 5,121.4 缶/年
項目 | R元年度 a | H30年度 b | 比較 a/b |
---|---|---|---|
ドラム缶換算量 | 5,205.0 缶 | 5,121.4 缶 | 1.01 |
※ドラム缶 1本 200リットル=0.2kL
※系数の根拠:浦和地方庁舎ESCO事業『省エネ・CO2削減実績について』の係数を使用
★令和元年度分で削減した一次エネルギ-量はドラム缶で約5,205.0缶分に相当します。
- 参考 -
H29年度・5,053缶 H28年度・4,574缶 H27年度・5,220缶
H26年度・5,013缶 H25年度・4,561缶 H24年度・4,300缶
H23年度・4,049缶
項目 | 桐生厚生総合病院 敷地面積 ㎡ | 単位換算 ㎡→ha | 面積でのCO2吸収率 t-CO2/年 個数相当 | 個数相当 個/年 |
---|---|---|---|---|
桐生厚生総合病院 | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ |
- | ③÷10,000 | ②×④ | ①÷⑤ | |
R元年度削減量 | 17,220 | 1.722 | 8.78 | 220.7 |
H30年度削減量 | 17,220 | 1.722 | 8.78 | 216.9 |
出典:森林総合研究所HP 1年当たりの森林の林木(幹・枝葉・根)による炭素吸収の平均的な量
★令和元年度分で削減したCO2量は桐生厚生総合病院の敷地面積の約220.7個分を植林した場合に相当します。
- 参考 -
H26年度・213個 H25年度・191個 H24年度・179個
H23年度・173個